ホッと一息 しませんか

▼ 第95話 「お年寄りのよもやま話 ①」   

蕎麦屋でのことです。
学生が5人でメニューを見ながら注文をしています。
注文を受けるのは、90歳くらいの男性。
学生たちは、それぞれ違う物を注文。
男性は、メモを取ることもなくうなずいて、注文を聞いた後、調理場のほうに戻っていきました。
しばらくして、男性は、調理場のほうから戻ってきました。
「この紙に一人ずつ大きな字で注文を書いてくれんかね。調理場がばあさんだもんで…」
学生たちは、注文を大きな字で書いて、笑顔で渡していました。

▼ 第96話 「お年寄りのよもやま話 ②」   

テレビを見ていた80代のおばあさん。
突然「あんた!!早くこっちへ来て。」
「キーンという音が聞こえるでしょ。あんたには聞こえないのかい??」と。
私には何も聞こえません。
「音なんかしてないよ」というと、おばあさんは、私に近づいてきて、いきなり、おばあさんの耳を、私の耳にくっつけて、「ほら!!この音。聞こえるでしょ。」と。
おばあさんは、耳鳴りの音は他人にも聞こえると思っていたようです。
「おばあさん、耳鳴りは自分には聞こえるけれど、他人にはきこえないんだよ」というと、
おばあさんは「こんなに大きな音なのに…。どうして…。」と。
おばあさんの耳鳴りの音が、他人にも共有できる道具があれば、おばあさんの悩みに寄り添えることができるのにと、思いました。

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