人生 あ・ら・か・る・と 年齢を重ねてきた今、昔から大切にしていた記録、メモ、本、レコード、などから、これまでの人生を振り返るエッセイのコーナー「人生あ・ら・か・る・と」です。 掲載は月1回1日。筆者は4部のKOさんです。どんな話題が出てくるか、お楽しみください。 2025/07/01 第7回 メジロ捕り~前編~ 昔、胸がドキドキ、ハラハラする誠に楽しい遊びがあった。「メジロ捕り」である。 私の住んでいた処は農村地帯で、六月に「麦刈り休み」、十月に「稲刈り休み」がそれぞれ一週間あった。 戦後の昭和二十三年の秋に引っ越してきた我が家は、勤め人の家族で、近所の家庭も戦後引っ越してきた人達ばかりだった。従って、農作業を手伝う必要がなかった。 十月の休みは一番楽しかった。 今は、メジロは益鳥で許可なく飼うことも、捕獲することも出来ないが、当時は自由に飼ったり捕ったりしていた。 さて、近所の友達四、五人で、朝五時起きで、歩いて三十分程の「内野の山」へ出掛けた。 この山は、現在「浜名ニュータウン」にあたる場所である。 おとりの入ったメジロ籠を大事に風呂敷に包み、空化粧ビンにモチ(モチの木などの樹皮をつき砕いて作った、粘り気の強い物質。鳥や虫を捕るのに使う:岩波国語辞典より参照) と自分で作った、いい加減なお好み焼きの弁当とお茶を入れた水筒を持って、連れ立って出かける。十月と言っても下旬で、明け方は寒かった。(今より気温が低かった。)皆、おもいおもいに寒さ対策をして、手拭いで頬被りをしたり、破れた靴下を二、三枚重ねて履いていた。山へ着くと、少し明るくなってきて、先ず、モチを捲くための真直ぐの枝を探すことから始める。次に、おとりの入った籠を運んで、木の枝に掛け、用意した木にモチをすき間の無い様に薄く巻き付けていく。(厚く巻くと、メジロが止まった時、くるりと逆さまになるので、その重みでモチが垂れて、逃げられてしまう。) 各々準備が終わると、松林の傾斜した道に陣取り、メジロが群れで鳴きながら飛んでくるのを待つ。 …後編に続く… ~後編は7月2日の掲載です~ 記事一覧を見る