人生 あ・ら・か・る・と 年齢を重ねてきた今、昔から大切にしていた記録、メモ、本、レコード、などから、これまでの人生を振り返るエッセイのコーナー「人生あ・ら・か・る・と」です。 掲載は月1回1日。筆者は4部のKOさんです。どんな話題が出てくるか、お楽しみください。 2025/10/01 第13回 梅ヶ島温泉から八紘嶺へ ~前編~ 二十二才の頃(1964年、昭和39年)、近所のM君と二人で正月休みを利用して、一泊二日で、梅ヶ島温泉に一泊し、八紘嶺と云う山に登ることになった。 彼は山好きで、一人で近在の二千メートル級の山々へ登っているし、経験も豊富。 去年も、十月末から十一月一杯は、殆ど週末に日帰りでハイキングに出かけた。 行先は豊橋から飯田線に乗り換え、乳岩(チイワ)、明神山等へ。 (帰りに、豊橋駅で立喰いうどんを腹に納めるのが恒例だった。旨かった。) さて、今回登る八紘嶺は標高1918メートル、静岡県と山梨県境沿いに有る。 (嶺は山の頂、みね、分水嶺:岩波国語辞典)山梨県100名山に数えられる山である。 一泊した宿は梅薫楼(バイクンロウ)と云う旅館だった。(現在も営業している)ここの、経営者は、浜松市笠井町の出身だそうで、宿帳を見て我々が隣町から来たのを知って、懐かしそうに話してくれた。 翌朝八時頃旅館を出発して、私は彼の後ろについて先ず安倍峠(標高1416メートル)を目指して林道を登り始めた。 八紘嶺は、梅ヶ島温泉から往復七キロメートル位の距離、往復四時間位のコース。 天気は良かったと思うが、余り覚えていない。ひたすら彼の背中を頼りに登って行った。 暫く歩いていくと、彼が振り向いて、「安倍峠へ着いたよ」と云った。 峠だから分岐点だろうが、広い場所ではなかったが、景色がとても美しかった。 道は一面落葉に覆い尽くされ、道の両側は余り高くない葉を落とした樹々が並び、とても幻想的で、歩を運ぶ毎にザク、ザクと枯葉の音がした。(今でも景色が浮かび憶えている。) 後編に続く (明日10月2日掲載) 記事一覧を見る