人生 あ・ら・か・る・と 年齢を重ねてきた今、昔から大切にしていた記録、メモ、本、レコード、などから、これまでの人生を振り返るエッセイのコーナー「人生あ・ら・か・る・と」です。 掲載は月1回1日。筆者は4部のKOさんです。どんな話題が出てくるか、お楽しみください。 2025/04/01 第2回 木下惠介監督の視点 その2 前回の後日談です。 其の前に、木下惠介監督の別荘の間取りを説明しておきます。 玄関を入るとトイレ、書生室、ダイニングキッチンルーム、二階に化粧室、ベッドルーム、浜名湖を見渡すことのできる少し広めのバルコニーとなっています。 ここからは、現場監督だったO氏から聞いた話になります。 やっと建物が完成し、木下監督が初風呂に入り、シャワーを使われたそうです。ところが、お湯が気持ちよく出てこなく、パラパラと出るだけ。 水道は高架水槽を屋上に設置し、丸いタンクに水を貯め、蛇口から水が出る仕組みです。 何らかの原因で水圧が不足したのだと思う。(その後、どうなったか?) 次に、天気予報で風雨の強い予報が出ると、雨漏れを防ぐ為、若い監督3~4人とブルーシートを持って建物に懸けに何回か駆け付けた由。この建物の構造は鉄骨で骨組みし、ALCという工場で製造した軽量コンクリート部材を、レッカー車で吊上げ組込んだもので、コンクリートの継目はシーリングという柔軟性のある接着剤で接合してある。普通はそれで充分耐久性があるのだが、ここは湖に近く、しかも20m程の小山の頂上。雨、風は吹き上げてくるのである。少しでもシーリングに穴があいていれば、室内に水が入る。(その後の処置不明) それから何年か経ち担当の監督だったO氏から木下監督は別荘を手放し、何処かの社長が所有している由。 思いたって、過日、その後どうなったか往復32キロを車で辿ってみた。建物は、現存していて、窓に白いカーテンがかかり、人が住んでいる様子がうかがわれた。道を挟んだ反対側は「寸座チャーチ」と玄関入り口に書いてあり、キリスト教の施設として使われている様だった。(建物はすべて残っている様) かつては、ヤマハのリゾート地としてホテル、レストラン、カフェテラス、ヨットハーバーのある観光施設で、噂では、当時東京から有名人が来ていたそうだ。 東名高速道路の三ケ日インターチェンジから、車なら15分~20分で到着する。 私も妻と晩夏の夕暮れ時に訪れ、カフェテラスのデッキでコーヒーを飲み乍ら、程近くに見える東名高速道路の浜名湖大橋を眺めていたものです。 橋を渡ると、浜名湖サービスエリアです。浜辺には「篝火(かがりび)」」が設けられ、夜には「灯(あかり)」がともされたのでしょう。 40年余り経てば、全て過去の思い出話です。 記事一覧を見る