人生 あ・ら・か・る・と 年齢を重ねてきた今、昔から大切にしていた記録、メモ、本、レコード、などから、これまでの人生を振り返るエッセイのコーナー「人生あ・ら・か・る・と」です。 掲載は月1回1日。筆者は4部のKOさんです。どんな話題が出てくるか、お楽しみください。 2025/08/01 第9回 諏訪湖へ ~前編~ 諏訪湖は長野県に有る。 天龍川の源流で長野県から静岡県の山間部を流れ、遠州灘に到達する川である。 昭和四十年(1965年)東京オリンピックが開催された翌年の話である。 ある時、中学の同級生のU君とふとしたことから、天龍川沿いの道をさかのぼって往けば、諏訪湖まで辿り着けるではないかと云う話になり、早速地図帖を開いて調べてみると、卒業した小学校の前の道路が、国道152号線で、其の道路に沿って北上すれば、諏訪湖へ到達する事が判った。乗り物はオートバイである。私は前年(昭和三十九年六月十日)に自動二輪の免許を取得し、ヤマハのYG65(65cc)を持っていた。 和地山町に有る県の自動車学校で、一日目学科試験で合格すると、翌日が実技試験、あらかじめ実際に走るコースを歩いて確認し、試験車はスクーターで初めて乗ったが何とか合格した。スクーターはクラッチ変速なしで、右のグリップ(握手)を手前に廻すと加速し楽だった。 U君はホンダのスーパーカブ50(50cc)で通勤していた。 出発日は盆休みの七月十三日、十四日の一泊二日に決まり、午前八時に我が家より、二人用のテント他必要品を荷台にしっかりくくりつけ(何せ未舗装の山道を走るので)ひたすら、 国道152号線を北上し、諏訪湖を目指して二人で走り続けた。 昔のことで、今の様に道路標識が有る訳もなく、山中に入れば何処を走っているのか?どの位すれば集落に着くのかさっぱり判らず、腕時計を見て、昼時になったので、道端にオートバイを停め、少し高い処へ移動し、握り飯を口に頬張り、又走り始めた。 今、地図帖で直線距離を計測してみたら、ざっと諏訪湖まで140km位、山道で平均1時間30kmで走って、休憩を入れて5時間くらいで着く計算になる。 ところが、道中にはアクシデントがつきもので、途中デコボコ道の石にタイヤを捕られ転倒。常に足を乗せているステップが曲がり、足で操作する変速機が作動できない。困った。 何とか手で、変速機を動かし、極めて低速で、集落に入り、自転車屋を探し、何とか修理してもらい、ヤレヤレ。一時間以上も費やしてしまい、又走る。 時は容赦なく過ぎ、夕方が近づいてきている気配がした。 とにかく、一刻も早く諏訪湖へ辿り着かねばならぬ。果たして、湖畔でテントを張る場所があるのかも判らない。 何処かの集落で商店を探して聞いてみようという事になり、やっと、ひっそりとした雑貨店を見つけ聞いてみた。すでに辺りは薄暗くなっていた。 続きは後編へ (8月2日) 記事一覧を見る