人生 あ・ら・か・る・と 年齢を重ねてきた今、昔から大切にしていた記録、メモ、本、レコード、などから、これまでの人生を振り返るエッセイのコーナー「人生あ・ら・か・る・と」です。 掲載は月1回1日。筆者は4部のKOさんです。どんな話題が出てくるか、お楽しみください。 2026/08/02 第29回 「祖母 その4」 祖母の登場である。 「カッテニ、ハイッテキテ、ナニヲシヤガル、デテイケ!」 と使い古して、短くなったボロボロの竹箒を振りかざすと、 「ワアー!」と云って一目散に逃げていく。 暫くすると、ひとりがくぐり戸をそっと開け、様子を視に来る。 後に続く子供たちに合図をし、また入ってくる。 「ヤイ、マタハイッテキタナ!」 と追い返し、攻防は続く。 或る時、一件を案じたオバアチャンは、塀を乗り越えて入ってくるのを見て、塀の屋根にコールタール(黒いどろどろとした液状の物質:岩波国語辞典)を塗り付けて、侵入を防ごうとしたら、それをくぐり戸の取手に塗られて、逆襲された。 目の悪い祖母は、手を黒く汚し、 「トンデモナイ、コドモタチダ!」とカンカンになって怒っていた。 そんな攻防が数年続いて、子供達も成長し納まった。 ガキ大将だったタケノリ君は、中学校を卒業後、定期バスの車掌になり、早婚で父親となり暮らしていた。 或る時、タケノリ君が祖母に 「オバアサン、アノトキハ、メイワクカケテ、ワルカッタ」 と謝ってくれたと、嬉しそうに話してくれた。 こうして攻防戦は終わった。 建物も50年前に建て替え、面影はない。 ~和合町在住 KO~ 記事一覧を見る