●防災ニュース 第21回 自衛隊の災害派遣について 02/10 2024 能登半島地震の報道によって、いろいろなことが明らかになり、様々な情報が伝わってきます。 発災直後は地元消防と消防団の方々が活動していました。消防にできるたことは、初動における限定的な消火活動と容易に救出できる被災者の安全確保がメインでした。 自衛隊は? 自演隊の派遣が遅かったのではという批判が聞こえてきましたが、自衛隊は発災して瞬時に活動することはできません。災害派遣要請を当該都道府県知事から受けて出動となります。浜松の航空自衛隊は、基地の周辺で活動するわけでなく、都道府県の災害対策室が決めた地域で決められた内容の活動に従事することになります。 自衛隊でも航空自衛隊と陸上自衛隊では保有している災害用装備が異なるため、同じ地域に航空と陸上がそれぞれの役割で派遣され活動することもよく目にする光景です。 自衛隊が担う最優先任務は「国防」です。第2優先任務は、日本の「治安維持」。第3優先任務が、「災害派遣」です。 災害が起こった時、国防に向けている人員や機材をどれくらい災害派遣に振り向けられるかを検討し、災害の規模を調査したうえで人数を配置していくために、時間がかかっているように見えてしまいます。すべての戦力を「災害派遣」に割り当てることは、できません。 私が所属した航空自衛隊では基地所在地周辺都道府県で震度5以上の地震が発生したことを知り得た場合、自衛官は自動的に自分の職場に出勤し、支持を受けるように定められていました。ですから発災直後に迷彩服を着た自衛官を見かけても、出勤が優先されるため、声を掛けて助けてもらったり、手伝ってもらったりということは難しいとお考え下さい。 私も、東日本大震災後の大きな地震の際、自宅で食器が割れて散らばった所をまたいで、妻に「よろしく!」と言って出勤しました。妻からは、一番あてにならないのが自衛官と言われていました。 災害派遣に出動する隊員は、活動における心得の教育を受けて派遣されます。活動内容、行方不明者発見時の処置、避難者対応、服装、腕まくりの統制、むやみに腰を下ろさない、隊員の食事は避難者の炊き出しの終了後に避難者に見えないところで自衛隊の用意したパックご飯や、缶詰を食べ、避難している人と同じ食事をとらない等、多岐に及びます。また、捜索中は白い歯を見せない。避難者に接するときは笑顔で。など相反する表情も求められます。自衛官も血の通った人間です。行方不明捜索で心肺停止状態の子どもの救出などは、年齢の近い家族を持つ隊員にはなるべく従事させない等の配慮をしたりと、災害派遣活動では、メンタルヘルスに十分に留意して活動を続けています。 皆さんには、自衛隊の災害派遣の裏にある事情などにもご理解を頂き、側面からささえていただければ自衛官も活動がしやすくなります。よろしくお願いいたします。 防災ニュース全体を表示 お知らせTOPへ戻る