季節 だより ホームページ事務局より季節を感じる言葉、俳句、歌などちょっとしたコラムをお届けします。 2023/12/21 「マッチ売りの少女」 子供の頃読んだ本のひとつに「マッチ売りの少女」という本がある。 貧しい女の子は、大みそかの夜、お腹を空かせながらマッチを売る仕事をしていた。 マッチが売れないと家に帰ってお父さんに叱られるので、家には帰れない少女は、夜更けになって、マッチを擦って温まろうとする。マッチの火と共に現れたのは、暖かいストーブ。でも火が消えると、ストーブは消えてしまう。もう一本擦って出てきたのは豪華な料理。そして、これも消えてしまう。もう一本擦って出てきたのは、大きなクリスマスツリー。そのツリーに飾り付けられていたキャンドルの光が天に昇り星になって消えていきました。…… あの頃、こんな悲しい事はお話の中だけのことだと思っていた私。 当時の日本は、一億総中流とか言って、みんなが同じだと思っていた。お金持ちはいたかもしれないけれど、皆がおんなじだと思って学校に通い、困っていた人がいたかもしれないのに、そんなことは知らないまま大人になってしまった。 今はどうだろう。格差社会となり、持てる者と、持たないものの差がどんどん広がっている。なんだか生きにくい世の中で、将来に不安を持ちながら日々なんとか暮らしている人がたくさんいるのが大人になった今の私は理解できる。 皆が、マッチ売りの少女が絵本のなかの空想のお話なんかじゃないことを分かっている。お話の中で、少女は、誰にも助けてもらえなかった。 今はどうなのかな? 困っている人を助けてあげられる世の中になっているのかな。 ろうそくのなかにキラキラ光るクリスマスツリーを見た少女のこと、昔読んだ絵本のことを最近は、このシーズンになると思い出します。 記事一覧を見る