季節 だより ホームページ事務局より季節を感じる言葉、俳句、歌などちょっとしたコラムをお届けします。 2024/01/16 「汚れちまった悲しみに… 中原中也」 汚れちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる 汚れちまった悲しみは たとえば狐の皮衣 汚れちまった悲しみは 小雪のかかってちぢこまる 汚れちまった悲しみは なにのぞむなくねがうなく 汚れちまった悲しみは 倦怠(けだい)のうちに死を夢む 汚れちまった悲しみに いたいたしくも怖気(おじけ)づき 汚れちまった悲しみに なすところもなく日は暮れる… 寒い冬を背景に、とても深い悲しみを表した中原中也のこの詩。 はっきりとは誰が、何がということはよくわからないけれど、忘れられない、逃れられない悲しみを抱えている気持ちを表している。 この詩を読んで、震災で被災された方のことを考えてしまいました。 なすところもなく日が暮れる…という文章を読みながら、悲しみが少しでも癒されることを祈りたいなと思いました。 記事一覧を見る