季節 だより ホームページ事務局より季節を感じる言葉、俳句、歌などちょっとしたコラムをお届けします。 2024/10/05 「秋の夕暮れ」 秋になると思い出すのが「三夕の歌(さんせきのうた)」 「新古今和歌集」にある「秋の夕暮れ」を詠んだ3首。 「さびしさは その色としもなかりけり 真木立つ山の 秋の夕暮れ」 寂蓮法師 「心なき 身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮れ」 西行法師 「見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ」 藤原定家 実は、「新古今和歌集」より前の「万葉集」にも、「古今和歌集」にも「秋の夕暮れ」を詠んだ歌は無いそうです。 枕草子の秋の段にも「秋は夕暮れ 夕日のさして山の端 いと近うなりたるに…」というのがあり、秋の趣は夕暮こそ深まると書いています。 おそらくその頃から、秋の夕暮れを見て、その美しさと静寂さを多くの歌人たちが詠むようになったようです。 現代を生きる私たち日本人が今も、秋の夕暮れに哀愁と美しさを感じてしまうのは、その頃から擦り込まれた感性なのでしょうか。オレンジ色に染まる秋の夕暮れは、忙しく生活する私たちに、一瞬の心の余裕を与えてくれます。 記事一覧を見る