季節 だより ホームページ事務局より季節を感じる言葉、俳句、歌などちょっとしたコラムをお届けします。 2025/05/17 「薫風」 初夏の若葉や青葉の香りを含んだ穏やかな風のことを「薫風」と言います。 漢詩の形式の五言絶句 人皆苦炎熱(人は皆炎熱に苦しむが) 我愛夏日長(我は夏の日の長きを愛す) 薫風自南来(薫風は南より来る) 殿閣生微涼(殿閣に微涼の生ず) というのがあります。 唐の文宗皇帝が上の2句を作り、詩人の柳公権が下の2句を作ったとされます。 皇帝は、みんなが嫌がる暑い夏の日が好きだと言い、薫風が吹き、宮中は涼しいという詩です。 宗の時代になり、蘇東坡という詩人がそれに続く詩を作ります 一為居所移 (ひとたび居の為に移され) 苦楽永相忘 (苦楽永く相忘る) 願言均此施(願わくば言わん 此の施しを均しくして) 清陰分四方(清陰を四方に分かたんことを) 皇帝は為政者として、庶民のことを分かっていないという詩を書いたわけです。 ふう~ん 薫風にはそんなエピソードがあるんだ。 単に、南風が吹いて、気持ちいいと言っただけだったかもしれないのに…。 立場、考え方、その人の置かれた環境等で、とらえ方が違うのは、今も昔もおなじかもしれませんね。 記事一覧を見る