今月の詩 4部にお住いの酔芙蓉さん(鈴木和子さん)の詩のコーナーです。酔芙蓉さんは、静岡県詩人会に属され、同人誌「遠州灘」・「詩季」を発行。浜松「私の詩」コンクールを主宰されています。毎月17日、酔芙蓉さんの詩集「亡国の蝶」から掲載いたします。 2025/11/17 「鳥の歌」 作:酔芙蓉 哀切なチェロの音色にのって 草原が広がり 碧空に鷲が旋回する 生きる悲しみ 死の虚しさ が 波になって満ち引きする 漆黒の宙に浮かんで 太陽だけを頼りに 青く光る星 稀有な星 命の星 脆く薄い星の表面で 跳びはね 叩き合っている者たちがいる チェロの音の中から もう会えなくなった人たちが笑かけてくる もっと優しくし合えば良かった もっと笑顔を もっと愛語を 惜しみなく伝えれば良かった 鳥のように 無心に草原の空を飛び 山を越え 海を飛ぶ 夢を見る カザルスの「鳥の歌」を聴きながら 記事一覧を見る