今月の詩 4部にお住いの酔芙蓉さん(鈴木和子さん)の詩のコーナーです。酔芙蓉さんは、静岡県詩人会に属され、同人誌「遠州灘」・「詩季」を発行。浜松「私の詩」コンクールを主宰されています。毎月17日、酔芙蓉さんの詩集「亡国の蝶」から掲載いたします。 2025/12/17 「ふつうの暮らし」 作:酔芙蓉 親しい人達と食卓を囲み 笑いながら 話しながら おいしいものを食べる 肉や魚、野菜 たまに珍味 ワインなど 酒の肴は ありふれた話題 そして 時には 行きたいところへ行く 初めての場所 懐かしい好きなところ 人と行ったり ひとりで行ったりする 旅 ふつうの人の望みって そんなことだと思う それくらいだったら叶えられる 大それた望みじゃない だが二十一世紀の世界の至る所 争いは溢れ 町々は廃墟になり 人さえも爆撃され 逃げ惑う ふつうの暮らしができない 居心地の良い部屋で 美味しいものを食べたり 笑い合ったりする 誰にだってできそうな何気ない暮らしができない “人類の終末時計の残り九十秒” 誰かの正義感・思い違い・恨み・欲望 そんなことの為に ふつうの人のふつうの暮らし 手の届かないはるかなものになってしまった 記事一覧を見る