今月の詩 4部にお住いの酔芙蓉さん(鈴木和子さん)の詩のコーナーです。酔芙蓉さんは、静岡県詩人会に属され、同人誌「遠州灘」・「詩季」を発行。浜松「私の詩」コンクールを主宰されています。毎月17日、酔芙蓉さんの詩集「亡国の蝶」から掲載いたします。 2026/07/17 「鬼の住処~ある歌人の物語~」 作:酔芙蓉 運命はある 右に行くか左に行くかで 生死が分かれたことがあった 右に行けば焼死 左に行って助かった 偶然だったとしても それは運命だった 言葉があった 歌という器があった その時々の自身を歌わずにはいられなかった 自身の歌を詠めば 歌った時の景色や気持ち鮮やかに立ち上がる 「人里離れた山奥に暮らす女 旅の修験層に 一夜の宿を貸し 鬼へと姿を変える 修験層の祈祷で鬼は姿を消す」 「黒塚」を観る 「松風」を観る 能を舞う 能と歌は繋がっている 魂を支えるほのかなるもの その時 気が付いた 私達は人間だったということに それまでは物だった 国に使われる物だったのだ 私は愛した 教師として 生徒たちを抱きしめながら ついこの間までの地獄のことを話した そして 歌を詠い歌を伝えた 記事一覧を見る