今月の詩 4部にお住いの酔芙蓉さん(鈴木和子さん)の詩のコーナーです。酔芙蓉さんは、静岡県詩人会に属され、同人誌「遠州灘」・「詩季」を発行。浜松「私の詩」コンクールを主宰されています。毎月17日、酔芙蓉さんの詩集「亡国の蝶」から掲載いたします。 2026/08/17 「カノンのように」 作:酔芙蓉 霧の中から出てきた 鉄橋をゆっくり走り 霧の中へ消えていった あれは 一両の電車だったのか 妖怪だったのか 大きな虫だったのか 雲の向こうがどこなのか 霧の彼方に何があるのか 誰も知らない 過去は忘れた 未来は知らない バッハのゴールドベルク変奏曲 繰り返し 繰り返されるカノン 電車は雲の中から 橋を渡り 霧の彼方へ 波のように打ち寄せ 波のように遠のく カノンのように 余韻を残しながら 記事一覧を見る