< 第七回 「半鐘(はんしょう)」>

●半鐘とは 小形の釣鐘で 時代劇の火事発生の場面では半鐘を打ち鳴らして火災の発生を住民や町民に知らせる時に打ち鳴らす鐘の事です。
火災以外にも 水害発生の注意報など 災害発生の恐れの警報や告知にも鳴らされます。
 先の東日本大震災の時には 地震に依る津波避難警報でも鳴らされていたのをニュース映像で聞かれた覚えの有る人もと思います。
◆今回紹介する半鐘は 町内 馬船の旧家の納屋に保存されていたもので 今から12~13年程前に保存の教えを受け知ったものです。
地域の年配者にはこの半鐘が柱に吊り下げられて居た事を覚えている方もいるものです。
<良くぞ先の太平洋戦時に金属供出を免れ残っていたものです>

◆半鐘には 寄附人の御名前が彫られていて
それには寄付者 「濱松市田町 石川清十 大正十一年十月」 と有り
鐘の反対面には 「馬舟組」 の銘が彫られて有るものです。
 (大正11年は1922年で 今年で丁度99年目となります)
現在半鐘は 関係者の了解を得て町内 三嶋神社の倉庫に大切に保管されてあります。

◆例年11月の<和合町防災訓練>の日には 会場の泉小学校グランドに半鐘柱を建てその腕木に鐘を吊るして<防災訓練の開始と閉会>時には この半鐘を打ち鳴らして合図したものです。
◆今年の<和合町防災訓練>は残念ながらコロナ感染防止の関係で通常の訓練実施は見合わせとの事、来年以降の防災訓練日には是非参加してこの「半鐘」を見に来て、又鐘の音を聞きに来て下さい。
● 町内の古老に伺った所ではこの半鐘が打ち鳴らされた大きな災害は幸いにも無かった縁起の良いものとの事です。
■半鐘寄贈の石川清十さんは三嶋神社の宮前を流れる権現谷川の上流二百m程の所に有った造酒屋の屋号<古見>さんの旧姓鈴木さんで石川姓となって居るのは 今も浜松市内の田町に店を構える仏壇仏具の<ぬし幸>の石川家に御養子と成された方で生まれ育った当地和合馬舟の地に御寄附をして下さったものです。
因みに造酒屋の屋号<古見>さんはこの地の旧字名の<古蓑ふるみ>から名乗ったと思われます。
江戸時代からの4代続けた造酒屋と言われています。
 又酒屋「古見商店本店」は現在のJA住吉支店の道向かいに昭和50年位迄店が有り屋根の軒には何枚もの酒の看板を掲げていたのを知っている人も町内には多く居る事と思います。

<和合町8-1-2 松本貞司 記〉